Beatles Remasteddddddd!

リマスターが発売されて何より日常生活に「あ!ビートルズだ」が増えて嬉しい限りです。


が、昨今のリマスターについていまいち乗り気になれない理由がいくつかある。

一つのテーマとして「クリアにする事=優れている事」になっているのがひっかかるんだよなあ。
いくつかインターネットやCDショップの試聴機で実際に聞いてみたけれど、音が整理されている事によって逆に彼らのマジックが消えているような気がするのです。



そもそもあの年代の音楽はテープ録音による音の劣化による、マジックが偶発的にたくさん収録されていた気がします。

彼らの音楽は僕にとって「謎」と「曖昧さ」の固まりでした。
何度聞いてもどうやってるか、わからない。
実際どうやってるかわからなくていいから、とにかくいい感じに、って録音してたんだと思います。
テープの劣化が悪い部分は曖昧に溶かし、良い部分は超計算的に(偶然の時代の賜物だという人がいますけどそれはないでしょう)心に響くようクリアに録音されている。
だから一生懸命ギターをコピーしてもどうしてもあの音のように鳴らない。
楽譜上どんなに同じ事をしても全く別物に聞こえる。
つまりそこでは「音質劣化」とよばれているものすら音楽として、演奏として鳴らしていた。



それは僕にとって「世界を変えてしまう魔法」のようなものだったのです。
人によっては魂が入っているとかそういう言い方になるのかもしれません。



あ、音楽っていうのはこれの事なのか。という衝撃でした。




それは大人になった今では具体的な原因がわかりますけど。
僕はいくつかの自分の作品を録音するにあたって、その魔法をどうにか自分の音楽にかけようとして、いかに現在のテクノロジーややり方でそれが失われてしまったかを現場で痛感してきました。
その代わりに手に入れたものは、とてもちっぽけな物に思えました。
とはいえ当時のままじゃmyspaceに一週間で音楽を更新なんてできないですから恩恵もありますね。



話を戻すと、謎で曖昧、いい加減、でも必然で、完璧。という感じがなんともビートルズビートルズらしさ、だと思っていたのです。
なのでちょっと今回のリマスターぼくは少しひき気味です。


だからといって、別にリマスター反対!とは思いません。
こんなに素晴らしい音楽が世の中に存在する事を知る機会はたくさんあった方が良いに決まってるし。
まだ「自分の一生好きな音楽」がない人たちにとってとても良い機会になると思う。
今のような音楽を聞き慣れたひとにとっては聞きやすいんだろうなあ。



大体が僕もビートルズを聴くときいつもオリジナルな状態、つまり英国アナログ盤で聞いているわけじゃないですから。
小学校の時は安いラジカセで。
中学生の時にはテープに落としてウォークマンで。
高校生の時にはMDにして。
大学生の時はiPodで。
今は、iTunesiphoneで聞く事が多いです。



でも、いつも魔法かかりまくってましたけど。



僕が初めて彼らの音に触れたのは地元の駅ビルに入っている新星堂に売っていたジャケットも赤い車(ビートル?)と変なユニオンジャックの、怪しい怪しいやつです。
2枚で1000円とか、そういう値段でした。もちろん定価ですよ。
いまだにそのシリーズでしか僕はビートルズを持ってないし、買い直していません。
僕にとってはアナログでもなく、リマスターでもなく、これなんです。



僕は、生涯ビートルズとはこれの事を差す。差してしまうんだろうなあー。

今日は一日なじみ深い方の音でビートルズを聞こうと思います。



「Magical History hour」 is re-uped on myspace

http://www.myspace.com/matsukiayumu